マルチワーカー・大谷彩貴さん

【移住後の仕事】~4つの仕事で生計を立てる4児のパパ~

マルチワーカー・大谷彩貴さん(つくばね発電所の前)2018年6月取材(取材・文=土田ひとみ 写真=福井孝尚)

地方移住する方はたくさんいるけれど、「田舎に仕事はあるの?」と不安を感じる方も多いかと思います。
農業などの一次産業の他に、建築家やデザイナーなど手に職を持った方々ばかりが移住しているイメージがあるかもしれません。しかし、田舎での働き方はそれ以外にもあるようです。

今回は、東京から奈良県・東吉野村へ移住した元サラリーマンの大谷彩貴(オオタニ サイキ)さんのお仕事をご紹介いたします。

 

元サラリーマンの大谷さん 移住後の仕事は?

奈良県・東吉野村は、若者移住定住施策として「クリエイティブ・ビレッジ構想」を推進し、60名以上の若者や子供達が移住しています。(2018年4月現在)

その拠点施設として、2015年3月にシェアオフィス「OFFICE CAMP HIGASHIYOSHINO」がオープンし、日本全国からクリエーター達が集まったり、視察に訪れたりしています。


オフィスキャンプ東吉野
OFFICE CAMP HIGASHIYOSHINO

「クリエーターが集まる村」として知られるようになった奈良県・東吉野村ですが、もちろん移住者はクリエーターだけではありません。
大谷彩貴さんも、そのうちの一人です。

大谷

移住して3年は、地域おこし協力隊として働きました。
5年目の今は、4つの仕事を掛け持ちしながら生活しています

※地域おこし協力隊時代の活動は、こちら

4人のお子さんを育てる一家の主である大谷さんは、人づてに仕事をもらいながら生計を立てています。

大谷さんの仕事割合

① 小水力発電所(週3日)
② 集落支援員・移住相談員(週2日)
③ 村内の旅館などのウェブ関係
④ その他(IT関連、住民さんのお手伝いなど)

 

東吉野村へ移住後の4つの仕事とは?

4つの仕事をどのようにしているのか、実際に大谷さんにお聞きしました。

① 小水力発電所(週3日)
つくばね発電所の点検風景
つくばね発電所の点検風景_2

東吉野村にある小水力発電所は「つくばね発電所」といって、大正から昭和にかけて稼働していた旧水力発電所を復活させた施設です。FIT(再生可能 エネルギー固定価格買取制度)を活用した売電事業を行い、売電利益は村の活性化に役立てる事を目指しています。運営管理は東吉野水力発電株式会社が行っていて、大谷さんはその会社から業務委託を受けています。

具体的な仕事内容は、以下の通りです。
・発電所の点検
・会社の事務全般や会計
・お問合せや見学申込などの総合窓口
・SNSやHPの情報発信
などなど

 

② 移住アドバイザー(週2日)

大谷さんは、週に2回“移住アドバイザー”として、移住に関する情報を村HPに掲載したり、移住を考えている方の相談にのる仕事をしています。
移住を経験したからこそできる、大谷さんらしさを生かしたお仕事ですね。

詳細は、こちら

 

③ 村内の旅館などのウェブ関係

PCに向かう大谷さん

地域おこし協力隊として過ごした3年間で、大谷さんは村内のいたるところに知り合いができました。

そのおかげで、協力隊終了後も、旅館などからウェブ製作の依頼をいただきました。住民さんとの信頼関係をコツコツと培って来たからこそ生まれたお仕事ですね。

 

④ その他(IT関連、住民さんのお手伝いなど)

もともと、IT関連の会社で働いていた大谷さんは、そのスキルを生かして、東京の会社からちょっとしたデータ処理などの仕事も受けています。
また、村内の方からパソコン関連のことで仕事をもらうことも。先日は、名刺作成をしたそうです。

 

東京時代と比べ、家族と関わる時間が圧倒的に増えた

家族で夕食の準備をする大谷さん
子供をこども園に送る大谷さん
子供と戯れる大谷さん

大谷

東京時代は、朝早く家を出て、帰りは22時頃か終電間際。家事や育児を妻に任せっきりにしているのが申し訳なかったです

仕事を4つも掛け持ちしていると聞くと大変なイメージがありますが、東京時代にサラリーマンをしていたときに比べ、家族と過ごす時間が圧倒的に増えたとのことです。

東京時代と東吉野村での暮らしを比較してみました

 

<東京>
07:00 起床

07:30 出勤
(満員電車1時間半)

09:00 出社

20:00 退社

22:00 帰宅

25:00 就寝

<東吉野村>
06:30 起床
(食事の準備や子供の着替え手伝い)

08:15 子供を車で「こども園」に送迎

08:30 仕事開始

17:15 仕事終了
(子供のお迎えまたは夕食作り)

18:00 家族で夕食

19:00 子供と遊んだりお風呂に入ったり

20:30 子供寝かしつけ
(そのまま就寝または一人の時間を楽しむ)

 

比較してみると、仕事の拘束時間が圧倒的に減った分、家事・育児に当てているようです。
家族で過ごす時間も増え、家事・育児も分担できたら、家族みんなが幸せを感じそうですね。

田舎で働き一家を支える大谷さんの姿が想像つきましたでしょうか?
大谷さんの場合は、地域おこし協力隊を経験していたこともあり、人とのつながりで仕事に繋がることが多かったようです。

東吉野_米部の田植えを手伝う大谷さん

どうしても村内で仕事を見つけられない場合は、近隣の市町村に通勤するという方法もあるそうです。

普段は、環境の良い東吉野村で過ごし、他地域へ働きに出ている方も実際にいるそうですよ。

 

東吉野村への移住に興味のある方は、こちら

東吉野村へ実際に移住された方の記事は、こちら

大谷彩貴

1982年、東京都生まれ。専門学校東京ビジュアルアーツ卒業。2014年、東吉野村の地域おこし協力隊として東京から家族を連れて移住。東吉野村のフリーペーパー「Letters」の発行をはじめ、ニホンオオカミ絵本コンクールの開催やオオカミ絵本の出版など、様々な活動を行う。協力隊の任期満了後は、個人事業主となり、マルチに活躍中。